不妊の原因〜女性側の問題〜
女性側の原因
もくじ
女性側が原因の不妊症は全体の約45%と言われいます。
4つに大きく分けて説明していきましょう。
- 子宮、卵管の機能的な原因
- 排卵因子
- 免疫因子
- 子宮内膜
1の子宮、卵管の機能的な原因について見ていきましょう。
まずは子宮の構造について、おさらいしてみましょう。

厳密に言うと、赤字の総称が子宮 と言われる部分です。
卵管は排卵した後に卵子と精子が出会う場所で、子宮内腔につながっています。
卵管因子
この管に、閉塞(つまっている状態)や、狭窄(狭くなっている)があると、精子が通りづらくなり、受精が困難になります。
また、卵管が何らかの影響で、体の一部に癒着(くっ付いている状態)があると、卵管に卵子が取り込まれにくくなると言われています。
子宮因子
子宮の機能的な原因として、子宮筋腫があげられます。
中でも、子宮の内側にボコッと出でしまう、漿膜下筋腫が、着床を妨げたり、精子が卵子へ到するのを妨げて、妊娠しにくくなると言われています。
同様に、子宮内膜ポリープも着床を妨げると言われています。
つまり、子宮内に何かできものがあったりすると、妊娠の妨げになるのではないかと言う考えです。
他にも先天的奇形(生まれつき)後天的奇形(手術などで形が変わった)も、原因にあがってますが、子宮奇形があっても、妊娠出産するケースは多いとされています。
頸管因子
図のとおり、頸管は外子宮口から内子宮口の間で、わかりやすく説明すると、巾着袋の袋部分が子宮内腔で、巾着袋の紐で閉める部分を子宮頸管とよびます。
ここの部分が、狭窄、粘液の分泌が少なかったりし、精子の侵入を妨げてしまう事があります。
また、ブドウ球菌、クラジミア、淋菌感染などで、頸管部が慢性的に炎症をおこしていると、不妊の原因になると言われています。
排卵因子
排卵させるまでの過程に異常がおき、卵が育たない、また、育ってもうまく排卵できない事を指します。
その原因はさまざまあります。
詳しくみていきましょう。
まずは、女性ホルモンの関係を図にしたものをみてください。

視床下部性の排卵障害
脳下垂体を刺激する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(以後GnRH)が十分に出なくなると、図でもわかるように、それ以下のへの指令が遮断されてしまいます。
十分に出なくなる原因としてよく言われているのが、過度のダイエットや、ストレスなどです。
それにより、無月経になってしまい、排卵できない状態になる事があります。
下垂体性の排卵障害
下垂体の性の排卵障害は、視床下部性ほど多くないと言われています。
言い換えれば、視床下部からGnHRが正常に出ていれば、下垂体は機能するという事なのでしょう。
それではどんな事が原因で卵胞刺激ホルモン(以後FSH)や黄体化ホルモン(以後LH)が出なくなるのでしょうか?
それは、腫瘍などで下垂体の一部を手術により摘出した後などにおこると言われいます。
下垂体の前葉(前側)からFSH,LHは分泌されると言われています。
卵巣性の排卵障害
卵巣自体に卵子がない状態や、高プロラクチン血症により卵巣機能が抑制された状態。
または、卵巣内の男性ホルモン(アンドロゲン)が高くなるなどして、多嚢胞性卵巣症候群になり、排卵がうまく行われないと言う場合などが挙げられます。
高プロラクチン血症とはプロラクチンという下垂体から分泌されるホルモンで、乳腺を刺激して母乳の分泌を促します。
妊娠出産をしていない状態でこのホルモンが過剰に分泌されていると、生理がこない、排卵の抑制、胸が張って乳汁が分泌されたりします。
下垂体の腫瘍や、強いストレス、ある種の薬(抗うつ薬や胃潰瘍治療薬)副作用によっても分泌が増えることもあります。
甲状腺機能が原因で起こることもあると言われていますが、もっとも多いのは原因不明と言われています。
多嚢胞性卵巣症候群については、別の記事で詳しく書きたいと思います。
排卵は、個々の機能がバランスよく働くことで、できる事がわかりました。
ストレスや体の不調、環境因子は大きく関わっています。
ゆったりと不妊治療を受けることも必要な心構えですね。
次回
今更聞けない不妊治療の基礎知識
夫の精子が受け入れられません?!
免疫因子について書きたいと思います。
子宮は色々な部位から構成される総称で、それぞれに役割を持っています。
本当に人間の体は神秘的です。
その個々の役割についても、またお話できればと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。